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旅テク・旅ばな・旅心

旅のエッセイストとして、日本国内や世界各国への旅をもっと楽しく便利にするアイデア・情報・経験談などをご提供します。いっしょに充実させていきましょう!

旅の達人 芭蕉 001

 

 旅人と 我が名よばれん 初しぐれ

 

松尾芭蕉は、44歳の初冬、こう詠んで『笈の小文』の旅に出ました。

 それまでも旅に明け暮れた芭蕉でしたが、ここにきて「旅人」としての自分を強く意識したようです。

 俳諧の師匠、風流の通人、脱俗の知恵者……彼にはさまざまな面があった。そして、それぞれに優れた人々から尊敬される存在としての「面」だった。

 でも、今まさに(当時としては)熟年の域に入ろうとするとき、彼は旅人としての自分が全てなんだと思い定めた。

名声だとか名誉だとか尊敬の対象だとか……、そういうことはもうどうでもいい。途道すれ違ったり出会ったりする人々からは、傍を歩んで行くひとりの旅人としてみられれば十分だと思うようになった。ちょうど能楽に登場する旅の僧や、訳ありの道を彷徨う女性のように、ただひたすら旅する人として……。

 

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 それはまた、彼の旅が達人の域に達しようとしていた萌(きざし)でもあったのではないでしょうか。